エアコンの効きが良くなり紫外線から肌を守るカーフィルム!
夏、暑い車内に困っていませんか? じりじりと肌を焼く直射日光に困っていませんか? 信号待ちのときに隣の車から覗き込まれて嫌な思いをしたことはありませんか? 窓にスモークフィルムを貼ったら良さそうに思うけど、あれってどうなんだろう。そんなフィルムについてじっくりとみていきましょう。
カーフィルムとは
カーフィルムとは、断熱、プライバシー保護、車両のドレスアップなどのために自動車の窓ガラスに貼り付ける合成樹脂フィルムをさしており、一般的にはその中でも透明度の低いものをさします。そのため、スモークフィルム、 ウインドウフィルム 、着色フィルムとも呼ばれます。昔はスモークフィルムという呼び方が一般的でした。しかしカーフィルムには透明なものもあるので、色がついているフィルムというのはいささか現状に反します。そのため今はカーフィルムという中立的な呼称が一般的です。
赤外線、紫外線、可視光線を遮る効果
カーフィルムの特長には色々ありますが、その中でも代表的なものが太陽光の遮断です。眩しさを抑え、車内の温度の上昇や加工を防ぐという効果があります。車外から車内が見えにくくなりプライバシーの保護になるのもこの内の一つです。しかしその反面で外が見えにくくなり、また防犯上の問題もあるため、道交法で規制されてもいます。 ここでは、光の種類に分けて説明していきましょう。
- 赤外線カット
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太陽光は赤外線、紫外線、可視光線に分類されます。この中で赤外線は温度に関係します。車内の温度が高まってしまうのはこの赤外線の働きになります。こたつや電気ストーブなどの暖房器具でも赤外線は活用されていますので、馴染みのあるものではないでしょうか。
よくカーフィルムのことを断熱フィルムとかその断熱効果と言いますが、正確には外から入ってくる赤外線を遮断する(ことで車内の温度上昇を抑制する)のを遮熱効果、車内の温度が車外に逃げないようにする(ことで車内の温度降下を抑制する)のを断熱効果といいます。カーフィルムは一般に遮熱効果は高いのですが、断熱効果は建物の建材などと比較するとそこまで高いものではありません。そのため遮熱フィルムという呼び方のほうが正確だという意見もあります。どちらにせよ、赤外線をカットすることで車内の冷房の効率アップを期待することができます。エアコンの効きが良くなり、燃費も抑制できます。夏場の炎天下の環境だと車内の体感温度で10度以上も効果が出ることがあります。ただし、可視光線にも熱は含まれますし、肌やけは紫外線の効果によるものですので、そちらの効果にも配慮する必要はあるでしょう。
なお、赤外線は近赤外線、赤外線、遠赤外線に細分されます。400nm〜1200nmが赤外線の定義ですが(nmはナノメートルのことで10億分の1メートル。光の波長の長さをあらわしています)、この全領域を効果的にカットすることが必要になってきます。赤外線カット95%と言っていても、遠赤外線が95%カットで、近赤外線はそれよりも低かったりする製品もありますので、選ぶ際はご注意ください。 - 紫外線カット
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太陽光があたったときの日焼けは、体感としては「肌がジリジリと熱くなり肌が黒くなる」というものですが、ジリジリと熱くなるのは赤外線によるもので、肌が黒くなるのは紫外線によるものです。
紫外線を英語でUltraviolet raysと言います。そのため紫外線はUVと略されることがあります。紫外線カットのことをUVカットというのはこのためです。この紫外線には3種類あり、UVA、UVB、UVCとなります。このうちUVCはオゾン層が吸収するため地表には届きません。UVBは地表に届きにくく、UVAは地表に届きやすいという性質を持っており、地表に届く紫外線の9割がUVAで1割がUVBとなります。しかし肌へのダメージはUVBのほうが大きく、日焼けによる炎症や色素沈着作用をもたらします。また表皮細胞やDNAを傷つけてしまいます。UVAは肌に強烈なダメージは与えませんが、肌の奥まで浸透し、肌のハリや弾力を失わせてしまいます。紫外線は比較的遮断しやすいものなので、UVカット率99%は当たり前の数字となっています。しかし紫外線カットのために着色されたフィルムを使っている場合があり、着色フィルムは経年劣化による色あせや色抜けが生じやすいので注意が必要です。
- 可視光線カット
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可視光線とは文字通り目に見える光のことで、私たちがものが見えるというのは、目がこの可視光線を捉えているからです。なお、赤外線や紫外線は目で見ることができません。赤外線ヒーターやこたつが赤く光っているのは、そのほうがそれっぽく見えるからという理由で赤くしています。
この可視光線を抑制すると、車内から車外が、車外から車内が見えにくくなります。このことはメリットとデメリットの両方があります。車外から車内が見えにくくなることはプライバシーの保護となりますが、車の中を密室にしてしまうので防犯上の問題が発生します。またサングラスと同じように、力強く物事に動じないという外見上の印象を与えますが、それは同時にいかつく威圧的という印象も与えます。眩しさを制限する効果がありますが、それは車外が見えにくいということでもあります。
このように可視光線の特性は、赤外線や紫外線のような物質的な特性というよりも、社会的なものといえますので、その制限は社会によって定められています。道路運送車両の保安基準によって、前面ガラス、運転席・助手席の側面ガラスに貼る場合は、その窓ガラスの可視透過率は70%以上が必要です。
そのため、赤外線と紫外線を遮る効果だけをもとめ、可視光線は遮断しない透明タイプのカーフィルムもあります。その他の効果
カーフィルムの特長は光を遮るだけではなく他にもあります。
衝突時の窓ガラスの飛散を防ぐという安全性向上効果がありますし、ゴムやプラスチックは赤外線や紫外線で劣化しますので、車内設備の経年劣化を防ぐという効果もあります。
またなんといっても、視覚的なドレスアップ効果が期待できるのが嬉しいところです。施工方法
カーフィルムの施工には、店に依頼する場合と、自分で施工する場合があります。
店を使う場合は、大手量販店、カーディーラー、専門店があります。大手量販店やカーディーラーはそこからさらに外注に出す場合があります。とくにカーディーラーはほとんどが外注でしょう。カーフィルムの素材はピンきりですので一概にはいえませんが、作業については熟練度が大切になります。ガラス用フィルム施工技能士という国家資格もあるほどです。
自分で施工することもできます。プロが施工する場合とやることそのものが変わるわけではありません。カーフィルムの施工は、フィルムの用意、カッティング、貼り付けの3工程からなります。
フィルムの用意に関しては、素材の特質をよく選ぶということですので、インターネットなどでよく情報を集めることができるので、自分で施工することとプロの施工の間の差は縮まってきたと言えるでしょう。
カッティングは素人が作業をするのはなかなか難しいところがあります。カットするときに車体を傷つけてしまっては大変ですし、かといって隙間が空いているのもみっともないものです。貼り付けは、ガラスに水を噴射してから、スキージーで空気と水を抜きながら圧着していきます。このときに手早く行わないとほこりが付着してしまいますし、水抜きがうまくできなくて気泡になったりすることがあります。プロの場合はほこりの少ない施術室を用意していたり、特殊な機材を用意している場合がありますし、なにより熟練ですので安全です。しかし動画も多く出回っていますし、こういったDIY的な作業の好きな方にとっては、挑戦しがいのある分野であるともいえます。
このように考えると、自分でカーフィルムを施工するときの一番の問題はカッティングということになります。最近では車種に合わせてカッティン済みのカーフィルムも市販されていますので、そういったものを使ってみるのも効果的でしょう。